我妻教育〜番外編〜
綾人さんは、私の顔を見て、「やっぱり」と確信したように目を細めた。


ギクリとした。

ほら、私また綾人さんに見透かされている?



「人前で、泣かなきゃダメなんですか?」


でないと、心を開いたとは言えないの?

ムキになった。
私に対して、綾人さんは落ち着いたトーンのまま。


「そうは言ってないよ。例えばの話。

泣くという行為の重さは人それぞれだからね」



「…私には大親友なんてできそうにありませんわね」


今のままで不自由してないのに、手に入らないものがあると思うと何だか負けている気がして悔しい気持ちにもなる。


ただでさえ未礼嬢には、いち抜けたされているというのに…。


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