我妻教育〜番外編〜
私の視線に気づいて、綾人さんは目をそらさず微笑み返してくれた。


冷房を切って開けた窓から風が通って、髪が視界を遮る。


私は、目線を外し、髪を耳にかけ、


「美味しい紅茶ですわね」

と、話題を変えた。


「ありがとう。お店で僕好みにブレンドしてもらったんだ」


「香りがとても深いですわ。華やかで素敵」



「琴湖ちゃんは、紅茶好き?」


「ええ。好きです」


抹茶や和菓子が嫌いではないけれど、どちらかと言えば、実は紅茶や洋菓子が好き。


と言ったら、皆は驚くけれど。


生まれた家がただ和風なだけ、といつも言うはめになる。



「そっか。仲間がいて嬉しいよ。

僕の周りはコーヒー派ばっかりでさ」

< 272 / 493 >

この作品をシェア

pagetop