我妻教育〜番外編〜
そんなことを思いながら、大学の校門に向かって歩きながら、
ハタと気づいた。



綾人さんの、大親友はいるのか、誰なのか。

そういえば答えを聞いていなかったわ。


聞くまでもなく、綾人さんの大親友は、孝さまなんだろうけど。



綾人さんて、自分のことをあまり話されない人なのよね。



私が見るに、綾人さんも、どちらかと言えば一線を引いて人と接するタイプなのだと思う。


だから、心を開いてる開いてないで言えば、綾人さんも私には心を開いてはいないわ。





帰路の途中で母からの電話が入った。

珍しい。


電話に出た私は、母の神経質な声に眉をひそめた。


『琴湖、聞きたいことがあるから早く帰っていらっしゃい』

< 275 / 493 >

この作品をシェア

pagetop