我妻教育〜番外編〜

その陸

「善彦を破門にする」



そう言ったきり父は黙り込んだ。


腕を組み、眉間に深いシワを寄せ目を閉じている。

怒り心頭なのは明白。



全く状況が分からず、私は困惑し、皆の顔を交互に見た。



母に早く帰って来るように、と電話で言われ、家に戻ってみれば…


居間に父、母、兄(善彦)の婚約者の小百合さんがいて、まるでお通夜のような雰囲気だったから、とてつもなく嫌な予感はしていた。


3人の顔が険しい。


テーブルの上のお茶にも誰も手をつけていない様子だった。


一体何があったというの?


破門だなんて!



あまりに唐突すぎて、口をパクパクしたまま声を発せないでいたら、

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