我妻教育〜番外編〜
愕然としていた。


我が家は、一般的な家族の在り方から考えると異常なのではないだろうか。



桧周さんのような仲の良い兄弟を見た後だから、そう思うだけで、これまでの私だったら、ここまで愕然とはしなかっただろうけれど。



とにもかくにも、兄の居場所も考えていることも見当もつかない。


だって、本当にいつも通り元気そうだったし…。


私に思い当たることなんて……



「琴湖ちゃん、どうかした?
何か思い当たることでも?」

小百合さんが私の顔を覗いた。



「いえ、何でもありませんわ。お兄様のこと、心配ですわ」


「そうね…」



思い当たる、というほどでもない。


あの、兄からの電話。

焼肉に行けないと断ってきた電話。

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