我妻教育〜番外編〜
『琴湖だったら、才能も器量もあるし。

何より責任感だってある。
無断で休んだりはしないでしょ?』


姉もどこまで本気で言ってるのかわからないけれど、声は真面目だった。


私はうなずいた。


「ええ。それはもちろんですわ」



私なら、絶対に無断で休んだりしない。

私なら………



『私は冗談なんて言ってないから。
…あ、ちょっとゴメン』


電話の向こうで誰かが姉に話しかける声が聞こえた。

何やらバタついた空気。



「お忙しいところ、お邪魔しました。
もう切りますわね」


『うん。ゴメンねー。またかけるわ』



何だか喉が渇いて、水でも飲もうと、電話を切りながら部屋を出るために扉を開けた。


「!!」

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