我妻教育〜番外編〜
「まぁ。ありがとうございます。

どうぞお義姉さんも和彦さんもお体お気をつけ下さいな」


「ええ。夏風邪はこじらせると長引くようですしね。

ただ、本家のお仕事、滞らないようにだけはしてちょうだいね」


「ご心配には及びませんわ」



2人の間には、見えない火花が散っている。



折り合いが悪いというだけでなく、戦っているのだ。


伯母さまは、息子の和彦さんを次期家元へ、と強く推しているから。



伯母さまが来た日の母は、いつもすこぶる機嫌が悪い。


伯母さまが帰ったあと、例外なく母はカリカリとしている。


「あのタヌキ!
隙あらばって魂胆なんだから!

あのマザコン息子(和彦)なんかに継がせたら竹小路は終わりだわ!」


(ちなみに、お互い陰では、タヌキ、キツネと罵倒し合っているようだ。)

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