我妻教育〜番外編〜
私には、兄を探す手だてがないから、両親らに任せて待っているしかない。



だから、兄が見つかるまでは、余計な悪い想像はしないよう努めている。



兄は大人しく神経質で、(姉曰く)家元を継ぎたくない。

なのにもうすぐ襲名披露があって…。


…ただ逃げ出しただけなら、元気でいるなら、良いんだけど…。



家族の結び付きが弱い我が家だけど、やはり心配だわ。



携帯電話をポケットにしまい、窓の外をぼんやり眺めていたら、


「琴ちゃん、ちょっと聞いていい?」


遠慮がちに友人の白雪が、私に近づいてきた。



聞いていい?と言いながら、ためらう表情の白雪に、思わず身構えた。


「何?」


「あのね、琴ちゃんの、お兄ちゃんのことなんだけどね、」

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