我妻教育〜番外編〜
立っているのが疲れた様子で母は、広間の端に置いてあった椅子に腰をかけた。



そんな母の側に、父が近づき声をかけた。


「お前も、休んできたらどうだ?」


「いいえ。お気遣いなく。
こんな状態では、休んでも休まりませんから」


目を伏せたまま父の姿を見ずに、母は答えた。



父は、腕を組み、渋い顔で口を開いた。


「善彦のことをどうするか、考えんといかんな」



「貴方!」

母は焦って父を見上げる。



「お前の、善彦に継がせたいという気持ちは承知している。
私だって、善彦に継がせたい。

だが、こうも“身体が弱い”と今後の仕事にも影響が出かねん。

それに、他の者たちにも示しがつかんだろう」

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