我妻教育〜番外編〜
私は、ダメ??


ハタと、母と目が合った。


「琴湖だって、家元になりたいなんて思っていないわよね?」



「…え、ええ。私にはとても…」


手と顔を振って否定した。



片付けを終えて、

「では、部屋に戻りますわね」

鞄をつかんで外に出た。



部屋には戻らず、門を出た。


歩いた。


あてもなく。



歩きながら、頭の中に、休み時間の白雪との会話の内容がフラッシュバックしていた。



『はっきりとは見えなかったけど、キレイな女の人だったよ。

琴ちゃんのお兄ちゃんも、あたしが見たことないくらいすごく笑顔だった…』

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