我妻教育〜番外編〜
私は道路に落としたお守りに目を向けた。


走る車にひかれそうで焦る。


「ダメだよ、赤だ」


綾人さんは、ダメだと首を横に振った。



「でも…!」



バキっという乾いた音がした。


目の前で、呆気なく、ひかれてしまった。



信号が青になったのを確認し、壊れたお守りを拾い上げた。


見るも無惨、というのはこういうことを言うのね。



修復できそうもないくらい、木で作られたお守りは割れてしまっている。



お守りを手に私はその場で崩れるように膝を着いた。


ああ、何てこと。



「琴湖ちゃん、どうしたの?
またすぐ赤になるよ」

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