我妻教育〜番外編〜
綾人さんは、私に早く立ち上がり信号を渡るようせかした。



だけど、力が抜けたように立ち上がれずにいた。



ああ、今日は本当に何て日かしら。


いいえ、今日だけではない。


私はここ最近、ずっとこんな、やりきれない気持ちに悶々としている。

何故?


もう、ひかれるなら、ひかれてもいいわ…。


すべて、どうでもいいような気持ちになっていた。



そんな私の前に、綾人さんが車椅子を止め、私に向かって手を差し出した。



「君のことを抱き上げることができればいいんだけど…。

手を伸ばして、つかんでくれる?

ごめんね、僕はこれ以上、前屈みの体勢になれなくて…」

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