我妻教育〜番外編〜
綾人さんの顔を見上げたら、ひどく申し訳ないという表情で微笑んでいた。


胸が締め付けられるような思いがした。


だって、綾人さんが悪いわけではないのに。



再びクラクションの音が響く。


信号がまた赤に変わってしまう。



クラクションの中、それでも綾人さんは、ずっと私に手を差し、その手を私がつかむのを待ってくれている。



私は、手を借りず急いで立ち上がり、綾人さんの車椅子を押して信号を渡りきった。


綾人さんを巻き込むわけにはいかない。


「申し訳ございません。ご迷惑をおかけしました」


深々と頭を下げた。


綾人さんに対して、どんな顔をすればよいのかわからなかった。

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