我妻教育〜番外編〜
「バラバラに壊れてしまいましたわ…。
孝さまに、何と言えば…。

頂いたものをこんなに早く壊してしまうなんて…」


私はハンカチを取り出して、お守りを包んだ。



唇を噛み締め暗くうつむく私に、綾人さんは、さらりとした声をかけてきた。


「お守りは、持つ人の身代わりっていうからね。

君の代わりに壊れてくれたんだよ。
よかったじゃないか」



「私の代わりに…?」


どういうこと…?

問いかけるような目で見たら、



「だって、君が壊れそうだったから」



壊れそう?この私が?


ドキリとした。


一瞬息が止まって、とっさに何も返せなかった。


気を落ち着けるために目をそらす。


「な、何を、そんな…」


壊れそうって、どういう…

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