我妻教育〜番外編〜
必死で兄を守ろうとしている母に対して、伯母さまは、


「延期どころか、中止ですわ!

竹小路の名を汚すようなことをしたんですから当然でしょう!」

高らかな声で言い放った。

うれしそうだな、と思った。



中の様子に恐れおののいてか、居間の入口付近で、使用人がお茶を乗せたお盆を手にしたまま立ち往生していた。



「だいたい、何で今の今まで分からなかったんだ!!

明日だろう、発売は!」


おじい様が怒鳴った。



「発売?」

って何?


私と使用人は、顔を見合わせ首をひねった。



「これよ」


背後から、歩いてくる人の気配とともに声をかけられた。


振り返ったら、小百合さんだった。

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