我妻教育〜番外編〜
ていうか、子ども?!兄に、子どもがいたの?!


家族全員が知らなかった、まさに青天のへきれきだった。


ということは、兄はその女優と結婚するということ?!



「そんな汚らわしい女、竹小路家には入れません!

一緒になるというのなら、善彦さんには出て行って頂かなくては!」


伯母さまの厳しい大きな声が聞こえた。


兄の弁明が聞けない今、もはや母も反論できないようで、居間が不気味に静まり返った。


廊下の私も息をのんだ。



「…もう、別れたと言っていたのに…」


小百合さんは、悔しげな震える声でつぶやき、居間には入らずこの場から立ち去った。



私は小百合さんの顔を見ることができなかった。


ただ、ただ、申し訳なかった。


お兄様、貴方って人は何てことをしてくれたの…。

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