我妻教育〜番外編〜
終業式を終え、家に帰るため車に乗り込んだ。


すると、何故か車は我が家の方角に向かっていない。


怪訝に思い、運転手に問う。

「どこへ行くの?」


「…」

運転手は黙ったまま。


嫌な予感がした。


「どこへ行くのかと聞いているの!」


私は運転席に身を乗り出した。


仕方なく運転手は、言いにくそうに口を開いた。



「…御家元のご命令で、松葉ホテルへ参ります」


「お父様のご命令?何故ホテルへ?」



「…御家元から、本日は琴湖さまはホテルにお泊りになるようにと…。

それ以上は、私の口からは…」



父に電話をかけてみた。

出ない。

母にも電話をかけた。

出ない。

姉にも電話をかけてみる。

出ない。

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