我妻教育〜番外編〜
「え?萌花さんのお家に?」


聞き返したら、萌花さんと若葉くんは、うなずいた。


「うん、そうだよ!
今日はねぇ、お兄ちゃん(桧周さん)も早く帰ってくるって言ってたし!

この前のゲームの続きしようよ♪
明日から夏休みだし、琴湖さん、私の部屋に泊まってね!」


楽しそうに萌花さんは私の腕を取る。



若葉くんのほうを見たら、「うん」と、うなずいて言った。


「オレら、琴湖さんのこと、迎えにきたんだ」



まっすぐな瞳と言葉。



しびれるように強く胸が痛んだ。


口元を手で覆う。


こみ上がるものを押さえ込むことができず、涙が溢れる。




…何て、愚かなことだろう。


兄の行いのことではない。



愚かなのは、私だ。

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