我妻教育〜番外編〜
同じ篭の鳥だと思っていた未礼嬢が、いつの間にか、夢を見つけて外に飛び出していた。


そしてまた、大股で一歩離されていく。



未礼嬢は、思わず無言になった私の顔を心配げな瞳で覗きこんだ。


「琴湖ちゃん、どうかした?」


「…うらやましいです。
未礼さんのことが、とても」



「うらやましい?あたしが?」


何のことだか分からないといった具合に、未礼嬢はキョトンとした。



私は肩をすくめて少し笑って見せた。


「やりたいことって、どうしたら見つかりますか?」


嫉妬、というよりもはや羨望だわ。


今日、ここに来て、強く実感した。


私は、やっぱり羨ましいのだ。

私も、そうなりたいのだ。

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