我妻教育〜番外編〜
桧周さんは、勢いよく水を飲んでから、チラッと私の顔に視線を走らせて言った。


「若葉も萌花も、かなり心配してた。

琴湖が傷ついてるんじゃないか、って。

…オレらたまたま朝のテレビ観て知ったんだけどさ。

学校でも、家でも、琴湖が嫌な思いしてんじゃないか、って。

だったら、自分たちで助けてやりたいって、あいつらが言い出したんだ。
もちろん、オレもだけどな」


何でもない風な口調だけど、私の顔色の変化を伺いながら。



「私は大丈夫ですわ。

でもありがとうございます。
嬉しいですわ、とても。

何て優しい子たちかしら」



桧周さんは、フッと、はにかみながらペットボトルを冷蔵庫に閉まった。


「優しいっていうか、琴湖だから力になりたいって思ったんだよ。

あいつらまだガキだけど、大事にすべき人間のことは、わかってる」

< 358 / 493 >

この作品をシェア

pagetop