我妻教育〜番外編〜
“中南米”
“貧困問題”
“支援”
“旅行”

そのような羅列が並ぶ本だ。



「…お母様、もうお戻りですか?お兄様は…」


話をそらそうと思ったけれど、



「明日から地方で講演があるのよ。これから発ちます。

それよりも、こんな本なんか読んで、琴湖、貴女一体何をしているの」



無理だった。


母は、質問を投げかけてきてはいるけれど、私が行こうとしていることはすでに解っている、といった顔をしている。



反対されることがわかっている両親にはギリギリまで黙っているつもりだったのに、早々にバレてしまうだなんて…。



何とか母の気を逆なでしないようにしなければ…。


「…旅行に行こうと思いまして…」



「こんなところに行ってどうするの?」


鋭い母の声。

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