我妻教育〜番外編〜
私を見て、綾人さんは「いらっしゃい」とニコリとしたけど、それは愛想笑い。


残念ながら、歓迎という感じには見えない。


「…まだ行くのをあきらめてないんだね」


皮肉っぽい声に聞こえた。



「ええ、もちろんですわ」


笑顔で返事をし、私はテーブルの椅子に腰掛け、鞄の中からスポーツクラブのパンフレットを取り出す。


「入会してきたんです。体力をつけるために」



毎朝のウォーキングと近所のラジオ体操も順調。


もう少し体力をつけるために、スポーツクラブに入会した。

水泳を始めようと思っている。



綾人さんは、パソコンに向かいながら、チラッと私に視線を走らせ言った。


「ご両親は反対してるんだよね?
どうしてそこまでして行きたいの?」

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