我妻教育〜番外編〜
あんなに温かく優しかった綾人さんが……。


そのカタカタと滑らかな指さばきでキーボードを叩く音が、異様に大きく響いた。



きっと綾人さんは、私のことをしつこい。迷惑。そう思っているに違いない。



素人で、しかも未成年。

身体も丈夫ではない。

母にも反対されている。


そんな私が行きたいと言って、グリーン☆マイムの責任者の綾人さんが、困らないわけがない。



すごくよくわかる。


わかるけれど……。


強い孤独を感じていた。



…仕方ないわ。

もう別の手段を考えるしかない。


「…お邪魔致しました。失礼します」


立ち上がり、俯いたまま深くお辞儀をした。



やる気を出しても、自分の気持ちだけではどうにもならないなんて…。



塞いだ気持ちのまま、グリーン☆マイム本部の部屋を出た。

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