我妻教育〜番外編〜
「8月の末に、一週間の休みをもらったよ」



夜。仕事帰りの桧周さんが、我が家に寄って言った。


「孝市郎さんのとこ。オレも行くことにした」



「まあ!本当ですか!」


ちょうど、綾人さんの協力を得たその日の夜のことだったから、良いことは続くんだわ、と、なおさら嬉しい気持ちになった。



「なかなか返事ができなくて悪かったな」


と、桧周さんは、恐縮した感じで頭をかいた。


「いいえ、そんな!こちらこそ急にお誘いして…。

色々とご都合もあったでしょうから」



「かなり悩んだんだけどさ、若葉と萌花が絶対に行けって。

行ってこいって。
あいつらがそう言ってくれたんだ。

だから、決心がついた」


桧周さんは、はにかみながら、すごくうれしそうだった。

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