我妻教育〜番外編〜

医療支援隊の皆さんが帰ったあとのグラスやカップを洗い、テーブルを拭いていたら、


「ああ、そうだ」


綾人さんは、パソコンの画面を見つつ、カチカチとマウスをクリックしながら言った。


「琴湖ちゃんがそっち行くって伝えたら、孝市郎が直々に空港まで迎えに出てくるって言ってるよ」


「え」


あまりにサラリと言うから、理解するのに時間がかかった。


「孝さまが、わざわざ?!」


私を迎えにきて下さるの?!



驚き目を丸くした私の反応が予想通りだったらしく、綾人さんは、フッと笑う。


「孝市郎も相当驚いてたよ。

まさか、琴湖ちゃんが自分の活動に興味持つなんて思ってなかったみたいだから」


現地の空港で、孝さまが出迎えてくれる。


上気してきた。

何としてでも、母の了解を得なければ…。

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