我妻教育〜番外編〜
「昨日、泳ぎすぎたかしら」


身体が怠い自覚はあったけれど、休んでいる場合ではないと外に出た。



「昨日の疲れが残っているなんて、もう年かしら…」


苦笑いしながら、休憩するためのベンチを探しキョロキョロとする。


何だか足が重い。


深呼吸した。


歩きはじめてすぐなのに、もう息が切れている。


…無理はしない方がいい。

一日くらい休んだってきっと大丈夫なはず。


だって、ずっと頑張ってきたんだから。


今日はもう帰ろう。



幼い頃の苦い思い出が頭をよぎる。


例えば遠足の前日。

例えば家族と出かける予定の前日。


いつもいつもいつも、私は“私”に裏切られてきた。


そのことを忘れていたわけではないけれど、油断していた。


帰るにはもう遅かった。


突然、目がぼやけた。


覚えのある、めまいと腹痛が私を襲う。
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