我妻教育〜番外編〜
激痛に朦朧としながら、後悔した。


何に?


何が悪かったのか、全くわからないのに?



ああ、もう手遅れだ。


意識が遠のきながら、それだけは、はっきりとわかっていた。



「…孝…さま…」



私、また、“私”に裏切られたみたい…‥‥





我が竹小路家と、孝さまの松園寺家とは、同じ町内に家を構え、代々家族ぐるみの付き合いがあった。


啓さまとは同い年で、産まれたときから知る間柄だし、特に孝さまは、私を本当の妹のように接してくれていた。



孝さまは、私にとって誰よりも信頼できる人だった。


とにかく素敵だった。

容姿も人柄も笑顔も。

そんな方が身近にいることが自慢だった。



幼い頃、何度となく繰り返した入院生活。


印象に残っているのは、孝さまのことばかりだ。

< 403 / 493 >

この作品をシェア

pagetop