我妻教育〜番外編〜
使用人と入れ違いに主治医の先生が入ってきて、


「親御さんが来てから詳しく話をさせてもらうけど、二、三日様子を見るために入院してもらうからね」


淡々と私に告げた。



入院…。


覚悟はしていたけれど、わずかな期待は打ち砕かれた。



これまで、私は一体、何のために努力をして……



その後、何言か話しかけられた医師の言葉は、何も耳に入っては来なかった。


「また来るから。もう少しゆっくり休みなさい」


今は何を話しても無駄だと判断したのか、医師はすぐに病室から出て行った。



室内に残った看護師は、点滴を触りながら、励ますように明るい声で語りかけてきた。


「そうそう、琴湖ちゃんにお見舞いの人が来てくれているのよ」


お見舞い?


「琴湖ちゃんが目を覚ますのを外で待っていてくれたの。
呼んで来るわね?

あの人、素敵な人ね。うらやましいわ」


フフっと微笑みながら出て行った看護師のすぐ後に、
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