我妻教育〜番外編〜
変わりたい。


自分のカラを破るために、決意した冒険。

当初の目的は、それだった。



だけど、孝さまのところに行くとに決めてから、いつの間にか、目的の重点は孝さまに会うことになっていた。



その証拠に、行けなくなった今、孝さまに会えなくなったことに、私はひどくショックを受けている。


そんな浅はかな私に神様が罰を与えたんだ。



熱い涙が溢れて耳に落ちた。

私はそれを拭わなかった。



綾人さんは、黙ったまま。


一体どのような表情で、私はを見ているのか、想像もつかない。


でもきっと、あきれているわ。

私だって私をあきれているんだもの。



私は、にらむように天井を見つめながら震える唇を開いた。


「…馬鹿でしょう?

孝さまは、私のことを妹だと思っているでしょうけど、私は兄だなんて思ったことはなかった。

だって、孝さまは、私の、私の…っ…」



私の王子様なのだから。



絞り出すように発した声は、途中で途切れ、嗚咽に変わった。
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