我妻教育〜番外編〜
桧周さんが帰国した。



綾人さんに旅の報告をするために、グリーン☆マイム本部に来るという。


連絡を受けて、グリーン☆マイム本部で綾人さんと共に待っていたら、大きな荷物を担いだ桧周さんが帰ってきた。


空港からグリーン☆マイム本部に直行で寄ってくれたみたい。



「ただいま戻りました!」


真っ黒に日焼けした顔は、イキイキと明るい。


ケガや大きなトラブルもなく、無事に帰国されたことに、ひとまず安心した。


「お帰りなさいませ。
お元気そうなお戻りで何よりですわ」



「おかえり。疲れただろう?どうだった?」

と、綾人さんも笑顔で迎え入れた。



「私も聞きたいです。旅は、どうでしたか?」


道中は、やはり大変でしたか?

どのような景色でしたか?

気温は?暑かったですか?


孝さまは、どのようなご様子でしたか?

お元気でしたか?

どんなことを話されたのですか?


聞きたいことが山ほどあって、何から聞いたら良いのか、気が急いて前のめりになった。



桧周さんは「ああ、良かったよ」と笑顔で言ったあと、「う~ん…」と、唸るように考えながら大きな荷物を下ろし、


「…一言じゃ、言い表せない。

何から話せばいいんだろう…」


と、感慨深げに呟き視線を泳がす。


勿体ぶっている訳ではなく、純粋に胸も思い出もいっぱいのよう。


椅子に深く腰掛け、一息つく。

< 435 / 493 >

この作品をシェア

pagetop