我妻教育〜番外編〜
話し出すより先に、桧周さんは「写真、いっぱい撮ってきました」と、リュックからデジカメを取り出して綾人さんに手渡した。


その写真をパソコンにつないで見る。



写真を見ながら、桧周さんは語り出した。


「滞在場所の近くに小学校があって。

支援してる村の小学校なんだけど」



現地の地理をよく分かってない私にも分かりやすいように前置きしてから、今回の旅の報告を始めた。



「オレはその学校の子どもらと一緒に遊んだり勉強したり、井戸水汲んだり、メシ作ったり、一緒に生活しながら、畑作る手伝いしてきました。

乾いた土耕して。

滞在時間も短かったから、結局助けになったかは分からないけど。

実ったところを見届けることができなくて、心残りしかないけど、良い経験させてもらえたって思ってます。

本当にありがとうございました。

言葉、あんまり上手く通じなかったけど、子どもらのキラキラした笑顔、一生忘れないと思います」


綾人さんに対して丁寧に深々と頭を下げた。



写真に映る姿は皆、本当にキラキラとしていて、私は何度も目を細めた。


写真に写る孝さまは、やっぱり変わらず素敵だった。



「そう言ってもらえて、僕も嬉しいよ」


綾人さんも言葉通り嬉しそうに微笑んだ。



「医療支援隊の皆さんは、いかがでしたか?」


私は、桧周さんに視線を向けて質問した。


「始めたばっかだし、オレなんかが分かんないような大変さもあるだろうけど、皆、前向きに取り組んでた。

マジ頭下がるよ。

きっとすぐに地域に受け入れられるって信じてるし、今後も応援してる」
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