我妻教育〜番外編〜
私は、うなずく。


「ええ、もうすっかり。

私が誘っておいて、ドタキャンするなんて、本当に失礼いたしました」


頭を下げて詫びた。



「何言ってんだよ、謝ることねェよ。

あんな頑張って準備して、一番悔しいのは琴湖だろ」


桧周さんは、自分だけが旅立ったことを申し訳なさそうに顔をしかめた。



「いいえ、良いんです」


私は首を振った。


「今回に関しては、これで良かったんです」


もう、気持ちの整理は出来ていたから。


慌てないって。


一歩一歩進んでいけば良いんだって。


綾人さんが、そう言ってくれたから。


だから、もう私は感傷に浸ることはなかった。



「本当にありがとうな。行くことできて、マジ良かった。

誘ってくれた琴湖には感謝してる。ありがとな」



改めて丁寧にお礼を言われて、照れ隠しに首をすくめた。


「そんな、お礼なんて結構ですわ。

私が行きたくて、用心棒代わりにお誘いしただけなんですから」


笑って言ったら、


「きっかけは何だっていイイんだよ」


桧周さんも笑った。



「桧周さん、お仕事はいつからですか?」



「あ゙ー、明日から仕事だ」


桧周さんは、心底嫌そうに頭をかいた。



「帰って今日はゆっくり休んで下さい。
若葉くんと萌花さんが待ってますわ。

私はもう少し写真を見せてもらいますわね」


グリーン☆マイム本部に戻ろうとしたら、


「ちょっと待った」

と、引き止められた。



「孝市郎さんから伝言あるんだ」

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