我妻教育〜番外編〜
私も図鑑の一冊を手に取り、パラパラとめくり、


「花なんて、どうですか?」

と、提案した。


「花?良いけど、男も着れるかな?」


綾人さんは、はにかみながら、小さく首をかしげた。


私は、力強くうなずいた。


「ええ!
ポップなデザインにすれば、男性もキレイめな感じで着こなせると思いますわ」


「…なるほど。じゃあ、琴湖ちゃんだったら、どんなTシャツを作る?」



「…私ですか?そうですわね…私なら…」


視線を上に漂わせ、想像する。


「…例えば、Tシャツは、薄緑色。

胸元に板チョコとグリーン☆マイムのロゴ、そして、周囲に何かの花。

せっかくなら、日本っぽい花が良いですわ!

板チョコの茶色に映える色合いの花で、赤とか、もしくは…」


瞬間的に浮かんだアイデアを口にした。



綾人さんは、「ふーん」と顎を触って考えてから、チラリと私の顔を見た。


「じゃあ、琴湖ちゃんがデザイン考えてみる?」



「えっ?!私で良いんですか?!」


びっくりして間の抜けた声が出た。


冗談半分かと思って、綾人さんの顔を見たら、


「うん。琴湖ちゃんのアイデア良いと思う。

是非お願いするよ。急がなくても良いから」


綾人さんは、本気の様子だった。
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