我妻教育〜番外編〜
思いもよらない依頼だったけれど、考えたらワクワクした。


できるかどうかはまだ分からないけれど、綾人さんがそう言って下さるなら、是非挑戦してみたい。



「―はい!では、さっそく考えてきますわ!」


「よろしくね」


「こちらこそよろしくお願いします!」


頭の中で想像を巡らす。


自分のデザインが、グリーン☆マイムのTシャツになる。


カタチになったところを考えると、すごく楽しみ。



「琴湖ちゃんが手伝いに来てくれてホント助かってるよ。ありがとう」


一緒に図鑑を片しながら、綾人さんは微笑んだ。



「本当ですか?」


「うん。
いつも笑顔で礼儀正しいって、ここに訪れるお客さんやスタッフからも評判がいいんだよ」


「私、綾人さんのお役に立てているかしら」


「もちろん。
部屋の中の空気も明るくなるし、仕事も早いし、頼りにしてるよ」



「…良かった。少し心配してたんです。

私がここに来ることで、かえって迷惑をかけていたら、どうしようって」


強引に来させていただいた経緯があるから、安心して胸を撫で下ろした。



「琴湖ちゃんて、心配性だね」


綾人さんは、クスクスと笑った。



ずっと大切に育ててきた花が咲いたような、胸の中が、ほどけてフワリと舞い上がるような、そんな気持ちがした。
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