我妻教育〜番外編〜
小百合さんは、兄の裏切りに傷ついて、休んでらっしゃったのではなかったの?
私は、傷ついた小百合さんのことを心配していたのに!
それに、いまだ兄との結婚を望んでらっしゃったのではなかったの?
それがまさか、次期家元候補に立候補して、兄と戦おうだなんて!
いつの間にそんなことになったの?
父と母も、左都子伯母さまも、ひきつったように顔を硬直させたまま、言葉が出ないようだった。
「ほらな、俺なんかの手に負える女じゃなかった…ってな」
横の兄が、ボソリと他人事のように呟いた。
私に聞こえるように。
兄だけが驚いていなかった。
私はすごく驚いたというのに。
私の、竹小路流を奪われる。寒気すら覚えた。
「ははははは!!」
ここまで終始無言でご覧になっていた、先代家元(祖父)が、突然、愉快そうに笑い声を上げた。
笑い声に和むどころか、より一層、場は凍りつき緊張感が増した。
「これは一興!面白くなってきたではないか!
どうだ、他にはおらぬか?ん?
我こそは、家元になろうという意気込みのある奴は!」
先代は、室内にいる人たちをぐるーっと見回し、わざとらしく挑発してきた。
静まり返っていたのが、一変して、ザワザワと騒然とし始めた。
話が、思ってもいない方向へと進み初めている。
場は、かつてなく混乱した。
このままでは収拾がつかなくなる。
私は、傷ついた小百合さんのことを心配していたのに!
それに、いまだ兄との結婚を望んでらっしゃったのではなかったの?
それがまさか、次期家元候補に立候補して、兄と戦おうだなんて!
いつの間にそんなことになったの?
父と母も、左都子伯母さまも、ひきつったように顔を硬直させたまま、言葉が出ないようだった。
「ほらな、俺なんかの手に負える女じゃなかった…ってな」
横の兄が、ボソリと他人事のように呟いた。
私に聞こえるように。
兄だけが驚いていなかった。
私はすごく驚いたというのに。
私の、竹小路流を奪われる。寒気すら覚えた。
「ははははは!!」
ここまで終始無言でご覧になっていた、先代家元(祖父)が、突然、愉快そうに笑い声を上げた。
笑い声に和むどころか、より一層、場は凍りつき緊張感が増した。
「これは一興!面白くなってきたではないか!
どうだ、他にはおらぬか?ん?
我こそは、家元になろうという意気込みのある奴は!」
先代は、室内にいる人たちをぐるーっと見回し、わざとらしく挑発してきた。
静まり返っていたのが、一変して、ザワザワと騒然とし始めた。
話が、思ってもいない方向へと進み初めている。
場は、かつてなく混乱した。
このままでは収拾がつかなくなる。