我妻教育〜番外編〜
「琴湖!!」
竹林を抜け、母屋へ向かう途中で、姉の榮華が現れ声をかけてきた。
「どした?浮かない顔して」
出し抜けに、姉は私の顔を覗き込んで言う。
「浮かない顔?してました?」
私は頬を押さえて首をひねった。
姉は母家の方を見ながら言った。
「先に母さんともすれ違ったけど」
「ええ、今少しだけお母さまとお話をしてましたの」
「そっか」
姉は視線を母家から私に向けた。
「琴湖。私、そろそろ帰るね」
「あら、もうお帰りですか?
お姉さま、本日は一体どのようなご用事で?」
「父さんが、今日の会合で、家元候補に琴湖の名をあげるつもりだって言ってたからさ。
せっかくだから、覗きついでに顔見せとこうかな、って思って。
―…出発前に」
出発前に?
「お姉さま、どこかへ行かれるんですの?」
竹林を抜け、母屋へ向かう途中で、姉の榮華が現れ声をかけてきた。
「どした?浮かない顔して」
出し抜けに、姉は私の顔を覗き込んで言う。
「浮かない顔?してました?」
私は頬を押さえて首をひねった。
姉は母家の方を見ながら言った。
「先に母さんともすれ違ったけど」
「ええ、今少しだけお母さまとお話をしてましたの」
「そっか」
姉は視線を母家から私に向けた。
「琴湖。私、そろそろ帰るね」
「あら、もうお帰りですか?
お姉さま、本日は一体どのようなご用事で?」
「父さんが、今日の会合で、家元候補に琴湖の名をあげるつもりだって言ってたからさ。
せっかくだから、覗きついでに顔見せとこうかな、って思って。
―…出発前に」
出発前に?
「お姉さま、どこかへ行かれるんですの?」