我妻教育〜番外編〜
私の質問に、姉は小さくはにかんだ。


「ちょっとね。パリ行くことにしたんだ」



「まぁ。お仕事ですか?」


「うん、ファッションショーの舞台のフラワーアレンジの仕事入って」


「すごいじゃないですか!!」



「私一人でやるんじゃないわよ。
手伝ってくれないか、って声かけてもらって。

でも良いチャンスだって思ってる。

修行っていうか、しばらく向こうで勉強できればって思ってるから、ちょっと長く滞在しようと思ってるんだよね。

新しい感性も得たいって思ってたところだったし。
ま、不安もあるんだけど」



「素敵ですわ。頑張ってきて下さい」


お姉さま、どんどん先に行くのね。


不安を覗かせつつも、希望に満ちている。

そんな姉の表情に、触発されるような前向きな想いがした。



「ありがと。頑張る」

姉は謙遜気味にはにかんだ。


それから、背伸びをしてから「そうそう」私の顔を見てニヤリと笑った。


「父さんが、琴湖を家元にしたいって言ったときの、ハトが豆鉄砲くらったみたいな琴湖の顔見れて面白かったわ」
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