我妻教育〜番外編〜
胸の中心に小さな砂漠のようなものを抱えているみたい。



カラカラに渇いていて、そこからは何も芽生えることはない。


その砂漠はとても小さいから、無いものとして目をつぶることができるくらい、私は大人だ。



ふと、綾人さんの顔が頭に浮かんだ。


そう、砂漠に気づかないふりはできるのに、私は楽になれる方法をもう知っている。



何でもないことだよ。

って、綾人さんは笑って言ってくれるから、それだけで私の心は軽くなるの。



いいえ、例え何も言ってくれなくても、綾人さんのお顔を見るだけで軽くなるわ。


安心感と信頼できる空気をまとった方だから。



考えていたら、いてもたってもいられなくなって、私は綾人さんに電話をかけた。



「今からでもお手伝いできることは、ありませんか?」


グリーン☆マイムのお手伝い。

半分くらいは口実のようなものだった。



『家の用事があったんじゃないの?大丈夫?』


綾人さんは、どうやら屋外にいらっしゃるようで、綾人さんの声に混じってガヤガヤとした雑音が聞こえた。


「ええ、もう用事は終わりました」


『今、駅前のショッピングセンターに来てるんだ。

事務所で使うものの買い出しに出てるんだけど、良かったら一緒にどう?』



「勿論です!すぐに行きます!」


着物を脱ぎ捨て急いで家を出た。
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