我妻教育〜番外編〜
まだ何も始まっていないのに、未来が拓けたような気になってワクワクした。



種を抱いている。


咲くどころか、芽が出るかもまだ分からない、希望という名の小さな種を――…



「…―あ!」


ピンときて、私は立ち止まる。



「琴湖ちゃん?どうかした?」


「Tシャツ!
Tシャツのデザイン、今、とても良いイメージが浮かんできましたわ!

失礼!綾人さん、少々、お待ちくださいませ」



道の端に寄り、慌ててメモをとる。


デザインを任せれていたグリーン☆マイムのチャリティーTシャツ。


花をモチーフにしたい。


今まで、咲いた花をイメージしてデザインを考えていたけれど…



描き終え、顔を上げたら、綾人さんはクスクス笑ってる。


「一心不乱って感じだね」


「あ、し、失礼致しました。私ったら…」


我に返って、とても恥ずかしくなった。


綾人さんは、私のことを温かい眼差して見つめてくれている。


「琴湖ちゃん、すごく良い目をしてたね」



「…恥ずかしいですわ。い、行きましょうか」


顔が火照る。

下を向きながらメモを鞄にしまった。
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