我妻教育〜番外編〜
そう言うと、
「じゃあね」クルリと優雅なターンをしてピンクのオリエンタルリリーは立ち去ろうとした。


「あのッ」
慌てて呼び止め尋ねた。


「あの、貴女は…?」



顔だけこっちにむけて、ピンクのオリエンタルリリーはニコッと笑った。


「あたし?あたしはね、啓ちゃんのお姉ちゃんだよ」



「啓志郎のお姉さん…」







「しつこいぞ梅乃木。

何度我が家に来たとて、入れるつもりはない」


クラスでいつもの朝の挨拶後、再び啓志郎から釘を刺された。



「…そうだね、OK。わかったよ。
松の木は、あきらめるよ」



「わかれば良いのだ」


啓志郎は、何事もなかったかのように手元の小説に視線を落とした。



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