我妻教育〜番外編〜
ボクは、あきらめない。


キミが挨拶を返してくれるまで。



むりやり本とキミの顔の間に割りこんで、のぞきこむ。



キミは、瞳を伏せたまま、鼻でため息をついた。



毎朝のことで、もうウンザリしてるようだ。



切れ長のブラックアイで、目の前のボクのブルーアイを見据えた。



研ぎ澄まされたサムライのような瞳だ。



「…おはよう」



ぞんざいな声で言うと、勢いよく本を閉じ、ボクから目をそらして言った。


「梅乃木。

呼び捨てにするなと何度言えばわかるのだ」




つれなくされたって、ボクは気にしないよ。


ボクはニッコリ笑いかける。


「ボクのこともジャンって呼んでくれよ」



「断る」



この松葉学院に転入して、ボクはキミに出会った。




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