我妻教育〜番外編〜
鶴ノ宮クンは、大きな石をつかんで、キラトにカメオとともに強引に渡した。



「離してくれ!」


ボクは、両腕をとらえる2人に訴えかけたけど、腕の力は弱められることはなく、暴れれば、さらに強く押さえつけられた。



キラトは手に持ったカメオと、片手でかろうじて持てるぐらいの石をジッと見つめ、迷っていた。

顔が強張り蒼白している。



「キラト!返してくれ!お願いだよ」


ボクの叫びにも、キラトは答えない。



「キラト、早くしろよ」


鶴ノ宮クンが、イラ立った声で促した。



「…、…」


強張った顔のままでキラトは、聞き取れないような声で何かをつぶやいた。


そして意を決したように地面にカメオを置いた。



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