我妻教育〜番外編〜
「…啓志郎が?」


ずっと涼しい瞳をしていた新香サンは、かすかに驚いたように目を見開いた。



「そうだよ。

啓志郎のこと、ずっと勝てないことを悔しいと思いつつサ、心の奥では、スゴイなって尊敬もしてたんだ…。

勝負だと言っても相手にしてくれないし、いまだ何一つ及びはしないボクのことなんて格下に見てるんだろうなって、思ったりもしてた。

そんな啓志郎が、信じてくれたとき、うれしかった」



ほんとうに、うれしくて、ビックリしたんだ。




体育館裏での出来事を思い返した。



啓志郎や鶴ノ宮クンが去ったあと、キラトは、しゃくり上げながら泣いてボクに詫びた。



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