パレットネーム
「数値がまた下がった!?」
「うん。」
紅茶を飲んでいた委員長がむせる。
お店や"課題"の合間にこうやって委員長とお茶するのは珍しくない。
むしろ日課であり、生活の一部なのだ。
「あんたそれ、大丈夫なの!?」
「大丈夫だよ。」
口の中でサクサク音をたてるクッキーと
甘みの強い色とりどりのマカロン。
「卒業できなくてもいいの!?」
「あんまりしたいとは思わないよ。ほら、ここ楽しいし?」
満月のようにまんまるで、綺麗な焼き色のついたチーズケーキ。
お菓子によく合うダージリン。
「卒業したあとの方が楽しいに決まってるでしょ!」
「どうして?じゃあ、卒業したあとは私達はどこに行くの?」
背景には美しいバラ園。
目の前の青い瞳の委員長は綺麗なフランス人形のよう。
「卒業しないっていうことは、存在自体がなくなるってことなんでしょう?」
全部全部、作り物。