パレットネーム



「数値がまた下がった!?」



「うん。」



紅茶を飲んでいた委員長がむせる。

お店や"課題"の合間にこうやって委員長とお茶するのは珍しくない。

むしろ日課であり、生活の一部なのだ。



「あんたそれ、大丈夫なの!?」


「大丈夫だよ。」



口の中でサクサク音をたてるクッキーと
甘みの強い色とりどりのマカロン。



「卒業できなくてもいいの!?」


「あんまりしたいとは思わないよ。ほら、ここ楽しいし?」



満月のようにまんまるで、綺麗な焼き色のついたチーズケーキ。
お菓子によく合うダージリン。



「卒業したあとの方が楽しいに決まってるでしょ!」


「どうして?じゃあ、卒業したあとは私達はどこに行くの?」



背景には美しいバラ園。
目の前の青い瞳の委員長は綺麗なフランス人形のよう。



「卒業しないっていうことは、存在自体がなくなるってことなんでしょう?」






全部全部、作り物。








< 103 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop