パレットネーム
「ぶはっ!」
苦しくなって水面に顔を出す。
「絵描き!ちゃんと着替えてから入りな!」
そう言いつつもジャージでダイブする竹刀。
水しぶきが顔や髪にかかって
こびりついた絵の具も吹っ飛んだ。
ああもう、授業中は静かにって言ったのに。
…言った?
「センセーいなくて良かったね
こんなとこ見られたら大目玉だよ。」
「センセーも2人しかいないプール監視するほど暇じゃないんだろうね。」
プールを選択したのは私と竹刀だけだった。
元々この学年の生徒数は数十名と少ないから、
プール選択者が2人だけというのも納得できる。