甘いキスは放課後に




紗恵はニヤつく口元を手で隠しながら黙って様子をうかがっている。まあ、部屋から出るわけにもいかないし、かといって下手なことを言って雰囲気をぶち壊しにするわけにもいかないし。少し黙っていてもらおうか。


「あ、えっと……キスって、そういうことは、だ、ダメだよ?僕は教師なんだし、第一、教師をからかっちゃいけません……」


これで伝わるとは思わないけど、紗恵に少々目配せして、フリーズの呪縛からとけたもののパニクっている実習教師に近寄る。さっきから、反応がうぶ過ぎるよ。大人とは思えない。


「かあわいいなあ……」


「みっ、実莉さん!?ちょ、ちょっと」


実習教師のコンビニ弁当を取り上げる。机に置き、そのまま手をつく。実習教師が椅子ごと後ずさりして、その分私の距離が近くなる。机と私との狭い間。はい捕獲。


……さて、どうしようか。



< 15 / 25 >

この作品をシェア

pagetop