甘いキスは放課後に

それじゃあお言葉に甘えて。


「……先生、緊張してる？……可愛いよ、先生。大丈夫、優しくするから」


根も葉もない言葉を呟く。その息が実習教師の耳にかかり、本人は身体を震わせた。


優しくするって、別にナニをやろうってわけじゃないのに。たかがキス。たかが肌の一部が触れ合うだけ。握手と何が違う？面積で言えば握手の方がずっと密接だ。――とまあ、そんな今更な議論は交わさない。


妖艶で余裕の笑みを口元に浮かべて、手で目を覆ったその隙間からガン見する紗恵を横目に、私。とりあえず今は、


（目の前の小動物を、甘く優しく喰らおうか）



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一言で言うと、疲れた。脱力感が全身を襲って、まあ、あれだ。早く帰りたい。帰って寝たい。