片恋綴
──そして、私もそんな一人だったりする。
「僕、黒髪って好きなんだよね。最近の子って、皆染めちゃってるでしょう?だから、美春ちゃんみたいに染めてない子の髪を触るの、楽しいし嬉しいんだよね」
さらりとそんなことを言ってくれるが、彼に他意は全くない。でも、大して男の人というものに免疫のない私はいとも簡単に彼に恋をしてしまった。
「俺の幼馴染みもずっと黒髪で、触らせてもらうの楽しかったんだけど、もう染めちゃってるからさ」
残念そうに言う口調には、私への言葉とは違い他の何かが含まれているように思えた。実際、思えたのではなくて、そうなのだということも知っている。
「あ、そうだ。ご飯、どんな店がいい?」
永久さんの質問に私は口ごもってしまう。
彼に話し掛けられても緊張していつも上手く言葉が出てこないのだが、今日は少しそれとは違う。
「えっと……」
なんて言ったらいいのか。
メールで食事に誘われたとき、行きます、と即答したのに今更行けません、というのは失礼な気がするし、何よりもそれは自分の事情だ。しかも、そんな事情を言うわけにはいかない。
「まだ決められない?」
違うことで迷っていると思ってくれたらしい永久さんの言葉に頷く。
「僕、黒髪って好きなんだよね。最近の子って、皆染めちゃってるでしょう?だから、美春ちゃんみたいに染めてない子の髪を触るの、楽しいし嬉しいんだよね」
さらりとそんなことを言ってくれるが、彼に他意は全くない。でも、大して男の人というものに免疫のない私はいとも簡単に彼に恋をしてしまった。
「俺の幼馴染みもずっと黒髪で、触らせてもらうの楽しかったんだけど、もう染めちゃってるからさ」
残念そうに言う口調には、私への言葉とは違い他の何かが含まれているように思えた。実際、思えたのではなくて、そうなのだということも知っている。
「あ、そうだ。ご飯、どんな店がいい?」
永久さんの質問に私は口ごもってしまう。
彼に話し掛けられても緊張していつも上手く言葉が出てこないのだが、今日は少しそれとは違う。
「えっと……」
なんて言ったらいいのか。
メールで食事に誘われたとき、行きます、と即答したのに今更行けません、というのは失礼な気がするし、何よりもそれは自分の事情だ。しかも、そんな事情を言うわけにはいかない。
「まだ決められない?」
違うことで迷っていると思ってくれたらしい永久さんの言葉に頷く。