片恋綴
「あ、今度、その浩輔君に会ってみたいな。琴子なんかの何処がよかったのか訊いてみたいね」

会ってみたいのは本当。訊いてみたいのも本当。

でも、琴子のいいところは僕も沢山知っている。でも、彼が琴子のどんなところを見ているのか知りたいのだ。

彼と琴子が長く付き合うなら、僕と彼の関係も長く続くということになるのだから。

「じゃあ、伝えておきます」

千歳さんの言葉に、僕はよろしく、と言った。

少しずつ少しずつ、想いを消化出来ればいい。

いつか、次に好きな人が現れるときまで、秘かに想っていられればいい。

──そのときは、ありのままの君が好きだと、素直に伝えられるように。

僕はそう思いながは、千歳さんの髪を手で鋤いた。



All story end──


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