片恋綴


「ありがとう」

私は胸が詰まるのを感じながら祐吾君にお礼を告げた。すると祐吾君は驚いたような顔をしていて、それはとても可愛いかった。

「私ね、いつか祐吾君に言いたいことがある。だけど、まだ言えないから、少し待っていて下さい」

私は真っ直ぐに祐吾君を見ながら言った。まるで、この間の彼のように。

「……はい」

こうして真っ直ぐに見なければ伝わらないこともあるのだ。

私はよし、と小さく気合いを入れて部屋の中へと戻った。

……今日は、彼女を愛しそうに眺める祐吾君を見ない。いや、今後は見ない。

私は瞳に少し浮いた涙を指で拭ってから着替えを始めた。

少しずつ、少しずつ世界を拡げていこう。少しずつ、少しずつ自信がつくように。

いつか、好きだと告げられるように。

そのときに応えてもらえなくても後悔など残らないように。

私の気持ちがきちんと伝わるように。






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